背骨の前にある椎体という部分が壊れて変形してしまう骨折を「脊椎圧迫骨折」といいます。若年者が交通事故や転落事故で受傷することもありますが、多くは、高齢者にみられる骨粗鬆症（こつそそうしょう）が元で骨が脆くなっていることで起こる外傷です。明らかな外傷のエピソードがあって痛みを伴う圧迫骨折と、はっきりとした外傷のエピソードがなく、ほとんど痛みも感じず、気がつかないうちに生じている圧迫骨折とがあります。多発的に圧迫骨折が起こると、背中が丸くなり、身長が低くなるのも特徴です。

◆どうやって起こるの？

　圧迫骨折のほとんどは、高齢者に起こり、骨粗鬆症により骨が脆くなっている事が原因です。骨粗鬆症とは、｢骨強度の低下によって、骨折のリスクが増大してしまう骨・骨格の障害｣です。背骨は、特に骨粗鬆症の影響を受けやすく、ちょっとした衝撃や外力で骨折を生じてしまいます。転倒や尻もちだけでなく、中腰の姿勢をとったり、少し重いものを持ったという程度の小さな外力でも骨折を生じてしまいます。このような小さな外力での受傷では、本人には外傷を受けたという認識すらないことが少なくありません。

◆どんな症状？
　骨粗鬆症による圧迫骨折は、背中と腰の間に起こることが多く、あまり痛みを感じないケースも珍しくありません。一方、転倒や尻もちなどハッキリとした外傷のエピソードを伴って圧迫骨折を生じた場合は、ズキズキとした痛みを感じることがほとんどです。
　また、急に背中や腰に強い痛みを感じ、寝返りや仰向けができなくなったり、前かがみでしかいられなくなったりすることもあります。慢性期になるとつぶれた椎体が固まり、症状は軽快していきます。多発性の脊椎圧迫骨折を生じると、背中が丸くなり（円背）、身長が低くなります。

◆どうやって治療するの？？

 　圧迫骨折は、骨折の度合いによって治療方法が変わってきますが、基本的にはまず最初に骨折部の安静をはかる為にコルセットを着用します。軟性コルセットや硬性コルセットなど種類がありますが、症状に合わせて、整形外科にいる装具士の方が作成してくれます。症状が軽ければ簡易コルセットが処方される場合があります。
　リハビリとしては、痛みによって患部周囲の筋肉は硬くなりやすい傾向にはあるので、それ以上腰痛を助長させない為に筋膜リリースや緊張をほぐしていきます。また、寝たきり生活になりやすい為、症状に合わせて、下肢の筋力や体幹の筋力強化も並行して行っていきます。
　当院では、整形外科の入院病棟やリハビリ科に所属していた経験を活かし、骨折治癒後の生活にも生きる施術を行っていきます。整形外科の中には、マイクロ波や電気だけ流すような治療をしている所もあると聞きますが、それでは予後に大きな影響を与えます。もし、リハビリに悩まれている方がいれば、ぜひ、当院にご相談ください。